2.自治体病院の経営状況
自治体病院は、主として一般行政上の目的から経営されているもの(大学付属病院、独立の感染症病院等)および地方独立行政法人を除き、地方公営企業法に定める病院事業として同法の一部(財務規程等)又は全部が適用されている。平成23年度において地方公営企業法を適用する病院の事業数は、652業(863病院)であり、地方独立行政法人化、診療所化、民間移譲等により減少傾向にある。
このうち、地方公営企業法の規定の全部を適用している事業数は、都道府県26事業(126病院)、指定都市11事業(26病院)、市115事業(147病院)、町村21事業(23病院)、一部事務組合19事業(32病院)、合計192事業(354病院)となっている。
自治体病院は、地域の基幹病院として、小児医療、救急医療などの不採算部門やがん治療等の高度な医療、医療過疎地である山間へき地・離島における地域医療を担うなど、民間では採算性の確保の上で困難な医療を担っているが、近年の医師不足等により、経営のみならず医療提供体制の確保においても厳しい状況となっている。
近年の自治体病院の経営環境をみると、平成14年度に診療報酬(本体)が初めてマイナス改定されてから平成20年度まで4回連続でマイナス改定という厳しい状況が続いた。
また、医師の地域偏在、専門医志向、勤務医の業務量増大による過酷な勤務体制などにより、医師確保にはもともと苦慮していたが、平成16年度から導入された医師の新臨床研修制度を引金に大学において研修医の確保が困難となったことから派遣医師の引揚げが行われ、特に多くの医師派遣を大学医学部に依存していた自治体病院においては医師不足が極めて深刻な問題となった。
更に平成18年度の診療報酬改定で7対1の看護配置基準が導入され、看護師の需要が全国的に高まったため、看護師不足も深刻な状況となり、診療科の休止や病棟閉鎖などに追い込まれる自治体病院がかなりの数に上った。
このような状況下、地方公営企業法を適用する事業のうち経常損失を生じた割合が、診療報酬マイナス改定前の平成13年度では48.4%であったが、平成18年度には78.9%まで悪化した。経営構造の良否のバロメーターである医業収支比率も平成13年度の91.6%から平成20年度には88.1%と3.5ポイントも減少している。
また、累積欠損金は、平成13年度1兆3,882億円から平成21年度には2兆1,571億円に7,689億円増加しており、不良債務は平成13年度717億円から平成19年度には1,186億円に増加している。
その後、診療報酬は平成22年度の改定において実質改定率0.19%が確保され、平成24年度においても0.004%と、わずかではあるがプラス改定となった。また、平成19年度に総務省から示された「公立病院改革ガイドライン」を踏まえ、平成20年度以降「公立病院改革プラン」を策定し、経営改善に取り組んだことから、平成23年度においては経常損失を生じた割合が44.4%、医業収支比率は92.3%まで改善している。また、累積欠損金は2兆319億円に減少した。不良債務は平成20年度に発行が認められた「公立病院特例債」の影響もあり平成23年度には154億円に激減している。
このように自治体病院の経営状況は、最悪の状況から一歩抜け出した感はあるが、依然として半数近い病院が赤字となっており、特に中小規模の病院においては診療報酬改定が大病院に有利となっていること、医師・看護師をはじめスタッフの人材確保が困難であること等から、厳しい経営を強いられている。
当協議会では、中小自治体病院が直面している諸問題の把握と対応策について検討するため、平成21年10月に中小病院問題委員会を再開。平成22年12月に「自治体病院間の連携・応援等に関する提案」をまとめ、当協議会会長に提案したほか、中小病院の立場からの課題を抽出するアンケート調査、第11次へき地保健医療対策に関する要望、診療報酬改定に対する要望などの活動を行っている。