決議

東日本大震災から7年が経過し、平成28年度から、復興の新たなステージとして復興・創生期間に入りました。関係者のご尽力により復興に向けた取り組みが続いております。本年度も新築移転等により再建される病院がありますが、いまだ、必要な医療が十分に確保されている状態ではありません。
また、平成28年に発生した熊本地震では甚大な被害が生じました。関係者のご尽力により復旧・復興に向けた取組が続いておりますが、いまだ、必要な医療が十分に確保されている状態ではありません。
いずれの被災地においても一日も早い復興が望まれるところであります。
全国の自治体病院は、地域医療の最後の砦として、都市部からへき地に至るさまざまな地域において、行政機関、医療機関、介護施設等と連携し、地域に必要な医療を公平・公正に提供し、住民の生命と健康を守り、地域の健全な発展に貢献することを使命としております。地域住民の命と健康を守ることが地域の担い手を地域に定着させるための基本であり、そのためには、とりわけ、地域において救急、小児・周産期等の医療を確保することは論を待たないところです。現在、進められている地方創生の要は地域医療と教育であり、自治体や自治体病院の役割は益々高まってきているといえます。
「地域医療構想」は、全ての都道府県で策定され、医療制度改革が具体化・本格化しています。
しかしながら、この改革が、医療費抑制を強調する余り、患者中心の医療から離れたり、医療現場の気概を失わせたりするものであってはなりません。
国においては、その実現に向けた具体的方策について、地域医療構想は病床削減を目的としたものではなく、地域の医療ニーズに対応するためにどのような医療提供体制を構築するかという、その本旨に即して協議が行われるよう積極的な支援を行うことが期待されています。
そうした中、自治体病院では、へき地・離島はもとより、地域における拠点病院等にあっても医師が不足しております。とりわけ、救急医療や小児科、産科、外科、整形外科、麻酔科、精神科などは深刻であり、地域医療の確保もままならない状況です。医師の地域偏在、診療科偏在、医師不足による病院勤務医の労働過重、看護師不足等は深刻な状況にあり、その対応は喫緊の課題となっています。
また、自治体病院がその役割を担い、地域医療構想・地域医療ニーズに対応するためにも、平成30年4月から開始された新専門医制度が地域医療の確保に支障を来たさぬだけではなく、むしろその推進に寄与するような、制度構築・運用が必要です。
「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定)において、医師の労働については、質の高い新たな医療と医療現場の新たな働き方の実現を目指すための提言がなされています。
しかしながら、地域においては、医師法に定める応召義務を遵守しながら限られた人員体制によって地域住民の医療を確保しているという厳しい実態があります。
ついては、今後とも、医療現場に混乱や支障を来たすことなく、医師をはじめとする医療関係者が適切に地域医療を担い、もって地域住民が安心して医療を受けられるよう、医師需給・偏在の状況、女性医師の増加、日進月歩の複雑・高度化する医療への対応、チーム医療の推進、人口構造の変化や地域の実情等を十分踏まえ、国においては、然るべく検討が行われるよう配意されるべきものと考えます。

消費税制度において、事業者である医療機関が支払う消費税については診療報酬により補塡されてますが、診療報酬による補塡を超えて医療機関が負担している仕入れ税額相当額が生じ、特に、公立病院の補塡率は他の設置主体の医療機関と比べ最も低く、経営を一層圧迫しています。

平成30年度診療報酬改定では、本体は0.55%プラスとなりましたが、薬価・材料がマイナス1.74%で、ネットではマイナス1.19%でした。前回のネット1.31%マイナスに引き続いてのマイナス改定となっており、政府が給与の引き上げを主導する中で大変厳しい改定でありました。

これらの課題は、開設者である首長と病院、都道府県の取組だけで改善することは困難であり、国レベルでの実効性ある施策が不可欠であります。
国民が、居住する地域にかかわらず国民皆保険制度の趣旨に沿って等しく適切な医療が受けられる体制を整えるためには、人的、物的、財政的な面での公的な支援が必要であり、2025年以降の超高齢社会に向けて、国、地方自治体、医療関係者が力を合わせ、このことを踏まえた適切な医療提供体制が確保できるよう、13項目の要望事項をここに決議いたします。(平成30年度全国自治体病院開設者協議会 定時総会)