決議

全国の自治体病院は、都市部からへき地に至るさまざまな地域において、行政機関、医療機関、介護施設等と連携し、地域に必要な医療を公平・公正に提供し、住民の生命と健康を守り、地域の健全な発展に貢献することを使命としている。地域住民の生命と健康を守ることが地域の担い手を地域に定着させるための基本であり、救急、小児・周産期及び感染症やがん治療等の高度な医療のみならず、医療過疎地である山間へき地・離島における地域医療を展開するなど、民間では採算性確保の上で困難な医療も担い、地域医療の最後の砦として、その役割は益々高まってきている。

 

特に、昨年から新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、全国の過半数を占める感染症指定医療機関をはじめ多くの自治体病院が患者受入等の対応に当たっており、医師をはじめとした医療従事者や事務職員は自らの感染リスクを負いながら、命がけで治療等に従事している。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、一般患者の受診控えや受入制限による入院・外来患者数の減少、手術件数の減少、救急患者受入件数の減少等によって医業収入が大幅減収となり、医療機関の経営にも重大で深刻な影響を及ぼしており、とりわけ医療資源が限られている地域においては、民間の医療機関が対応できず、自治体病院が対応せざるを得ない状況となっている。

 

令和元年度までに進められてきた新たな医療提供体制の構築等に係る一連の議論の多くは、新型コロナウイルス感染症によって停止されていたが、昨年10月から議論が再開され地域医療構想の実現に向けた今後の取組がまとめられた。

令和元年12月に、具体的な病院名が公表された再検証対象医療機関については、国による助言や集中的な支援を行う「重点支援地域」を選定し、積極的に支援をされている地域もあるが、多くの医療機関は、各地の地域医療構想調整会議において議論が継続されている。そのような状況の中で発生した、新型コロナウイルス感染症という過去に経験したことのない感染症への対応を、再検証対象医療機関を含めた自治体病院が中心的な役割を担ってきた。再検証対象医療機関となっていない医療機関はもとより対象となっている医療機関(436機関)も半数近くが、新型コロナ患者受入医療機関として登録され、実際146の医療機関が受け入れている。(令和2年12月現在、G-MIS報告分)これまでは効率的、効果的な医療体制、無駄のない医療体制に主眼が置かれてきたが、新型コロナウイルス感染症を契機として、かつて経験したことのない急激な社会変化が予想されることから、単に効率性、経済性のみを追求するのではなく、我が国が、これまで推進してきた医療改革を抜本的に見直し、国民や医療従事者から求められる医療体制に再構築する必要がある。

新型コロナウイルス感染症への対応を含めた地域の医療提供体制の確保や、医師確保・偏在解消問題など以下に要望する課題に対して、開設者である首長と病院、都道府県の取組だけで改善することは困難であり、国家レベルでの実効性ある施策が不可欠である。特に、菅義偉総理からも「役所の縦割りや前例主義を打破する」と述べられているので、今までの考え方を大きく見直し、国民、医療関係者が納得する施策を進めるよう、13項目の要望事項をここに決議いたします。


令和3年5月18日